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arrows @ MAGAZINE

arrows Be3の裏側

2019.06.05 Wed

arrows Be3の裏側|壁紙編

~PhotoGrapher 皆倉亮×富士通デザイン~

こんにちは。@F運営です。

本特集では、タイトルどおり「開発時の裏側」、なかでも、本体に内蔵されている壁紙についてお話したいと思います。

外見が似たようなスマホがあふれる昨今ですが、arrowsシリーズは筐体だけでなく、その中身である壁紙のデザインも一貫して創りあげることでその機種ならではの世界観を表現しています。

新機種arrows Be3 F-02Lでは、フォトグラファー皆倉亮氏とコラボレーションして壁紙を撮影。

皆倉 亮(かいくら りょう)

1978年生まれの日本のフォトグラファー。
2005年に渡英し活動を開始。
その後2014年東京都新宿にて個人スタジオを開く。
化粧品広告などを中心に、アーティストやプロダクトデザイナーからの依頼もこなしつつ個展や写真集制作にも精力的に活動。

arrows Be3 F-02Lではどんな世界観を表しているのでしょうか。
その制作秘話をお話いたします。


写真左:皆倉氏
写真右:本プロジェクトをメーカー側で推進した小池氏(富士通デザイン株式会社)

実際に、このコラボレーションを実現した皆倉氏と小池氏にお話を伺いました。

閑話休題、クイズです。

この皆倉氏との壁紙コラボは、昨年の夏モデルであるarrows Be F-04Kからの取り組み。

インタビューの内容に入る前に、arrows Be F-04Kの実際の壁紙を見てみましょう。


arrows Be F-04Kの壁紙
Director:Oi Kanako(THINKR)
Photographer:Ryo Kaikura
透明感のある曲線と爽やかな雰囲気が印象的。

この壁紙、実はとある身近なものを被写体にした写真。
なんだかわかりますか?

正解は・・・


これが現品の写真。なんと、どこの家庭にもある花器。

なんと、花器。

光の当て方ひとつを大事にすると、被写体は驚くほど表情が変わる、と皆倉さん。
こんなありふれたモノを一流の壁紙に仕立てる皆倉さんと富士通デザインのarrows Be3 F-02Lでのこだわりに迫ります。

インタビュー:壁紙1枚、試行1700枚


新機種arrows Be3 F-02Lの壁紙
Director:Oi Kanako(THINKR)
Photographer:Ryo Kaikura

―今回の壁紙は「水」がテーマですが

小池今回は透明感の中に前機種にはない高級感がありつつ、それでいてどこかやわらかさを感じられるようなイメージをお客様に感じていただけるもの、というイメージのもと生活に密着する「水」を使った壁紙写真の撮影を皆倉さんに依頼しました。

皆倉初めて小池さんから依頼を受けたときは、しぶきとうねるが美しい葛飾北斎の絵がパっと思い浮かびました。普段の撮影の中では、被写体を際だたせる脇役としての「水」はよく使う素材なのですが今回は主役を「水」にした撮影なので、非常に難しかったです。


arrows Be3 F-02Lの壁紙のイメージ全体像

―具体的には、どんなところが難しかったのですか

皆倉空中に水を投げることによって形をつくり出すのですが、当然投げるたびに形は違うので、理想の形を求めてとにかく投げ続けました(笑)試しに写真を撮れば撮るほど、水ならではのしぶき感であるとか、ガラスのようなうねり感のあるパーツが欲しくなったりと、納得行くまで試行を繰り返しました。


水を空中に投げ出し、シャッターも手元で操作。

―どれくらいの試行を繰り返したのですか

皆倉ちょうど、インタビューがあるということで昨日撮影枚数を振り返ってみたんですけど1700枚を超えていました(笑)

―理想の形をつくるために、なにか工夫した点はありますか

皆倉まずは、器です。うねりを作り出すために遠くに投げる感覚で水をばらまくのです。ボウルやコップなど様々な器で試していました。結果的に、理想のうねりができるのは、「軽量カップ」でした。


計量カップから水が飛び出す様子。
縁の形状から、飛び出す水の表情も変わる。

次にこだわったのは水そのものです。実は水って粘度が低くて、すぐしぶきになってしまうので中々「うねり」ができにくいんです。そこで使ったのは、粘度のある「みりん」です。みりんを混ぜることで、水そのものにはない「ぬめり」が出て、ガラスのような滑らかな面が生まれました。


「うねり」を解説する皆倉氏

小池このように、「うねり」と「しぶき」の表情を皆倉さんに作ってもらいつつ、スマートフォンのデザイナーとして「視認性」にも配慮しました。壁紙の上にはアプリアイコンやそのアプリ名が文字として表示されるので、見やすさも重要な要素で。
「しぶき」の箇所は画像としての要素が細かくなるため、見にくさにも繋がります。そこで、「うねり」の部分と「しぶき」の部分の配置を工夫することで、見やすさを担保しています。

皆倉他にも、光の当て方一つで透明感や空間の感じ方も違ってくるし、素材を上下反転にした場合でも使えるように、基本的に多灯の環境下で撮影していました。ライティングにはこだわっています。

―色んな調整があって、壁紙ができるんですね。

皆倉今回特に、なにか出来上がりのものではなく、アブストラクト(抽象的)な被写体で難しい撮影でしたが、デザイナーやフォトグラファー、レタッチ(写真編集)が一同に会して「試す→確認→いいね」の流れをつくりながら作業できたことも、良い作品づくりにつながったと思います。

小池参加した各自が勘所やノウハウを共有しながら進めることで、試行のたびにターゲットを絞る感覚がありました。

―本プロジェクトは完了しましたが、今後の予定について教えてください。

皆倉本件もそうですが、新しい企画に挑戦するのは非常に楽しいです。写真を仕事として捉えてしまうと、どんどん「遊び心」を忘れていきがちになるので。そのため、プライベートワークに積極的に取り組んでいます。
今は「伝統工芸品」。職人に直接アプローチして、写真を撮らせてもらうんですが、写真を通して伝統工芸品の新しい表情に気づくことに面白さを感じています。伝統はもちろん大事ですが、新しい魅せ方を探ることも非常に大切なことだと感じでいます。


自身の過去のクリエイティブが掲載された雑誌をめくりながら、
写真への想いを語る皆倉氏。楽しげな様子。

小池私はスマホのデザイナーですが、近年どのスマホも似たような見た目になっていてその差別化が難しいという状況に置かれています。壁紙の取組みもそのマンネリを打破するための一つのだと思っています。スマホに限らず、様々なものと共創することで、トータルの世界観で、arrowsブランドを訴求できたらな、と。

―本日はありがとうございました。ベタですが、最後に皆倉さんにとって「写真とは?」

皆倉水に潜っていく恐怖と、拾って陸にもどってくる感覚に近いです。未知のものを探りに、試行錯誤を繰り返しながら、潜っていく感覚。グラフィックが出来上がったときに、はじめて陸に上がる、みたいな。

なんとなく、分かる気がします。

仕事でもプライベートでも、人と関わっていく中で手探りをしながら関係性を築いていきますよね。

特に今回の写真などは、最終的には目に見えるモノとして出来上がります。
「みんなが見て良いと思うの」をよりシビアに探り完成させたときは、まさに陸に上がるような達成感を感じるのかもしれません。

さて、いかがでしたでしょうか。

arrows Be F-04Kの壁紙は、花器。
arrows Be3 F-02Lは軽量カップと水とみりん。
素敵なその見た目からは、何が写っているのかまさか想像できないですよね。

お客様が手にとったときに、いいデザインと思ってもらいたい、持つことに喜びを感じてほしいという想いから、1枚の壁紙に込めた努力と工夫には筆者も驚きでした。
ぜひ、今度壁紙を見る際は、すこし思いを馳せてみてください。

それでは!